ゆらゆらタユタ

わたしのブログ

女と女

母を養わない罪滅ぼしに、グッチの財布を買いました

4月の初旬、わたしは帝国ホテルのレストランにいた。ひとり約2万円のランチコース。相手は田舎から出てきた母親で、会計はわたし持ち。今日のために美容院に行ったらしい母の髪は不自然なくらいに真っ黒だ。濃紺のワンピース、パールのイヤリング、小ぶりな…

私と姉の運命について(後編)

単調で光の見えない暮らしだった。そんなわたしにも、唯一楽しいと感じる時間があって、それは委員会活動中だった。なりゆきで新聞委員になったわたしは、学年新聞の記事を書くこととなった。さらに副委員長を押しつけられたため、締め切り後には委員長と一…

私と姉の運命について(前編)

うちは普通ではない。最初にそれを感じたのは、小学1年生の頃だった。将来の夢は「れいばいし」だと答えたら、教室が変な空気になった。何かの漫画の影響だろうと先生は苦笑いしていたけれど、そんな漫画は読んでない。「れいばいし」は、大好きなパパの職業…

まだ「女の子」やってるの?

「びっくりした。まだみんな『女の子』してるんだね」 自分の口から出た言葉が、思ったよりも意地悪な響きを含んでいたので、当のわたしが驚いた。 この日は友人のマリアの結婚式だった。高校時代から華やかで目を引く存在だったマリアは、楽しみつくした20…

全自動お茶汲みマシーンマミコとセクハラ

ここ数年、コロナによって封印されていた飲み会とかいう悪しき風習が、ついに復活してしまった。マミコの勤める会社では、飲み会の出欠においてバインダーに挟んだ紙を回すという古来からの方式が採用されている。名前の横に出欠を表す◯×を記入し、×の場合は…

ダイヤモンドは傷つかない

「結婚する」と言ったとたん、目の前のナオミが小さく息を呑むのがわかった。頭に浮かんだであろう「なんで」を飲み込み、彼女はサラリと笑顔をつくる。「おめでとう!」 ナオミとわたしの出会いは中学校だから、付き合いはもう20年になる。当時は特別親しい…

被害者ヅラのアップルパイ

「あ、お疲れ」 「そっちこそ、プレゼンお疲れ様。何とかまとまって良かったじゃん」 「本当だよ。一時はどうなるかと思った」 「Twitter荒れてたもんね」 「本番直前にふたりもバックれたんだよ? 荒れるでしょ」 「まぁそれは……。でも前山さん、今日来てた…

糸が切れるふたり

幼なじみって言ったって、好きで仲良くしていたわけじゃない。母のパート先の和菓子屋の娘が、わたしと同い年だった。それだけ。幼稚園児のわたしには、すでに友達がたくさんいたし、近所に従姉妹も住んでいた。遊び相手には困ってなかった。困っていたのは…

誰でも良かったはずなのに!

こんにちは!セックスレスの人妻です。 4年前にビビっときて、交際半年で結婚しました。んで新婚5ヶ月でレスになりました。和牛水田似の夫は中学教師。授業に部活に事務作業、いつも遅くまでお疲れ様です。でも毎晩毎晩疲れてるって、疲れてない日はいつです…

平行線のあなたとわたし

「最低、本当に最低。今すぐ死んでほしい」 こんにちは。現場の幡野です。ここは大学の空き教室。寒いくらい冷房が効いています。今すぐリュックから上着を取り出し羽織りたいのは山々ですが、それも厳しい状況です。なぜなら教室にいるのはわたしとアキナち…

家族にもなれないくせにバカみたい どうせ離れていくのに何なの

(こちらの話とリンクしています) 去年の誕生日、彼から花束をもらった。わたしの好きなダイヤモンドリリーがふんだんに使われた大きな花束。幸せな気持ちで花束に顔をうずめるわたしに向かって彼は言った。 「30歳。俺に捨てられたら、無職の家無し30女に…

好きなんて言うなクソボケ嘘つきが 一生タワマンから出るな

あなたが指定したカフェはどの駅からも微妙に遠く、しかもその日は雨でした。約束時間の5分前。わたしは入り口の前でお気に入りの傘についた雫を払い、愛想の良い店員に待ち合わせだと伝えました。 通された席は窓際で、ひんやりとした空気に足先からスカー…

ふりむくな君は #1

「私が見えるの?」 自分に霊感があると知ったのは、高校の入学式だった。自分が一番乗りのはずの教室に女の子がいた。手足が長くて色白で、横顔のラインが美しい。机の上に軽く腰掛け、窓の外をぼんやり眺めていた。 わたしが思わず見惚れていると、彼女が…

それはテメェが悪いです

最近マユカの様子がおかしい? いつものことじゃないですか。はぁ、最近輪をかけて……? サナダさん、何かしたんですか。 ………………びっくりした。いや、こういう時ってだいたい「心当たりはないんだけど」って続くじゃん。不倫してたの? そんでバレたの? コワ…

私じゃダメかと言われても!

はじめてSNSに載せられるタイプの彼氏ができてラッキー! 結婚しようって言われてハッピー! って思ってたら浮気が発覚。最初こそとぼけていた彼は、動かぬ証拠を突きつけられて平謝りしたが、こちらに許す気がないとわかると逆ギレに転じた。それからマウン…

晴橋ヒナコさんへ

晴橋ヒナコさん。 これは全世界へ公開された、あなたひとりへの手紙です。アイキャッチに使った黒猫の写真は、一見なんでもない画像だけれど、あなたにはいつどこで撮られた写真か一目でわかると信じています。名前を晒すことになってごめんなさい。名前の漢…

私の妹にならないひと

中学の頃、隣のクラスの不良の奥山くんに「このままだとお前は絶対にいじめられ心身ボロボロになり家に火をつけられる。俺が守ってやるのでやらせろ」と言われた。やらせた。初体験だった。 3年間、定期的に奥山くんに呼び出された。友達はできなかったけど…

兄の妻になるひと

兄が「結婚したい人がいる」と言うので、相手は当然ハナちゃんだと思った。兄とハナちゃんは高校時代からの付き合いで、お互いの家族も公認の仲。わたしを本当の妹のように可愛がってくれたハナちゃん。彼女が東京の大学に進んだ時は別れてしまうのではと心…

アヤちゃんと3人のトモダチ #平子

(※こちらの話とリンクしています) これまでの人生で、他人から言われていちばん腹が立ったのは、「空気の読めないフリをしないで」。相手は大学の友人・アヤだった。 --- わたしの育った平子家の家訓は、「いま言わないなら黙ってろ」である。 親は子供は3…

アンチ活動結果報告(2)

(この話の続きです) 「株式会社白井システム所属、明城大学出身の広田ナコさん。インスタもTwitterも本垢抑えてます。逃げるなら全部晒すから」 『り』と名乗った女の子、YouTuberのシマレナのアンチだったはずのその人は、どう見てもシマレナ本人だった。完…

アンチ活動結果報告(1)

――ご趣味は?――動画鑑賞と、SNSでの中傷です。 映画でもドラマでもバラエティでもなく、わたしはYouTubeが好きだ。特にアイドルや美容系が好き。配信者が使ってるコスメをよく買う。ていうか、今はそうじゃなきゃほぼ買わない。 シマレナを見つけたのは偶然…

「わたしを離さないで」―花壇で枯れてゆく花たち

ふと本屋で見かけたので、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」を買った。 10年ほど前に読んだ記憶があり、TBSのドラマも観ていたので、流れは把握していた。それでも読んで良かったので、こうして記事を書いている。 ここから先は作品の内容・結末に触…

3人でいても、ふたりとひとり

高校入学初日から卒業までを、ニイナとハヅキと一緒に過ごした。ふたりとも大好きだけど、奇数のグループって難しくて、どうしてもふたりとひとりに感じる時があった。ニイナとハヅキ、それからわたし。境界線はすっごく薄い膜みたいで、無視することも、見…

不幸になったら愛されて幸せ♡

小学校に上がる頃には、母親に好かれていないと気付いていた。「好かれていない」というよりも、「嫌われていた」が近いかもしれない。母は常識があって責任感の強い人だから、兄ふたりとの露骨な差別や虐待はなかった。けれど、ふとした瞬間の表情や、言葉…

アヤちゃんと3人のトモダチ#しーちゃん

(※こちらの話とリンクしています。) ユリノから「婚約した」と聞いた時、私たちは新大久保で韓国料理を食べていた。 「おめでとう!」と平子が声を上げ、改めてノンアルコールで乾杯した。数年に及んで元彼を引きずっていたユリノが、新しい彼氏とトントン…

悲劇ならわたしの視界の外で

え、どうしたのこれ。婚約祝い? うそ、ありがとう。開けていい? わぁ可愛いグラス! この作家好きなんだよね。あ、そっか。前に一緒に展示を見に行ったね。 大事にする。……でもわたし、婚約のことアヤに言ったっけ。 // そう、平子のインスタで婚約パーテ…

わたしたちは友達なので

「いじめられてるの?」なんて訊かれて「はい」って言える人間が、言えると思ってる人間が、わたしはまったく理解できない。 担任の徳田先生は、言えると思ってる側の人らしい。平静を装っているけれど瞬きが多く、机の上で組んだ手の動きが忙しない。日直を…

ガラスのクツも金次第

昔々、あるところにシンデレラという美しい娘がおりました。父親の再婚相手とその娘たちはマジでとんでもない性悪で、父親の死によってそれは加速しました。姉たちが散財を極める中、シンデレラは無料家政婦としてこきつかわれ、毎日のように因縁をつけられ…

わたしは彼のプリンセス

あ、待って。なにこの空気。 さっきからふたりで目配せして……絶対なにかたくらんでるでしょ。 あー、絶対それ言われると思った。今日はその話題はやめようよ。なぜって、うそ、知らないの? 28歳以上の恋バナは法律で禁止されたんだよ。テレビのニュース見て…

愛のため戦え!

姉は常軌を逸した面食いだった。 好きになる男は全員飛び抜けて顔が良く、「ダサいけどよく見たら」という隠れイケメンではなくて、自分の美しさを自覚して飾り立てる男たちだった。20代の姉は、深夜でも呼びだされればタクシーに飛び乗り、しょっちゅう泣か…