ゆらゆらタユタ

わたしのブログ

暴力

【書籍試し読み】やさしい彼氏を殴っています

最初は、いちいち張り合ってこない素直さを好ましく思った。変にアドバイスをしようとせず、人の話を最後まで聴いて、無理に結論を出そうとしないところには思慮深さを感じたし、わたしの決断や考えを尊重してくれる優しさに惹かれた。でも今は、それらすべ…

女の子は痛くないので

おかしいとは思ってたんです。毎週水曜日、アキラくんの帰りは遅かった。残業だって言うんですけど、彼の職場は水曜、ノー残業デーなんです。でも、内緒でひとりの時間を持つくらい、可愛いもんじゃないですか。だから知らないフリをしてたんですね。 最初に…

わたしの“いいね”は五寸釘

(※性暴力の描写があります) 「そういえばこの前、田中さんに会ったんだよね」 銀座にある小さなレストラン。食後のコーヒーを飲みながら、そう言ったのはマナでした。 先日お気に入りのカフェで読書をしていたら、田中さんに声をかけられたそうです。外回…

母の恋人

わたしの父はとにかくやべ〜人間だった。プライドが高く他責思考で、暴力的で感情的で男尊女卑なアル中である。酒を飲むと暴れるし、酒がなくても怒り狂う。 当時の父に「アル中は依存症なので病院に行きましょう」なんて言おうもんなら死ぬほど殴られただろ…

【書籍試し読み】口裂け女に「ブス!」と叫べば

内田ゲンペイの趣味は、終わっていることに、道ゆく知らない女に向かって「ブス!」と叫ぶことだった。あと混み合う駅で大人しそうな女を狙ってぶつかりに行ったり、エレベーターで女とふたりきりになれば不必要に距離をつめ、怯える様を楽しんだりもした。…

【試し読み】家族にもなれないくせにバカみたい どうせ離れていくのに何なの

(こちらの話とリンクしています) 去年の誕生日、彼から花束をもらった。わたしの好きなダイヤモンドリリーがふんだんに使われた大きな花束。幸せな気持ちで花束に顔をうずめるわたしに向かって彼は言った。 「30歳。俺に捨てられたら、無職の家無し30女に…

好きなんて言うなクソボケ嘘つきが 一生タワマンから出るな

あなたが指定したカフェはどの駅からも微妙に遠く、しかもその日は雨でした。約束時間の5分前。わたしは入り口の前でお気に入りの傘についた雫を払い、愛想の良い店員に待ち合わせだと伝えました。 通された席は窓際で、ひんやりとした空気に足先からスカー…

恋の魔法は一瞬で

(※恋人間の暴力描写があります。苦手な方はご注意ください)バイト先で一目惚れしたたっちゃんは、当時ハタチの大学生だった。切長の目、尖った鼻、薄い唇、黒髪、ちょっとダサいTシャツと汚れたスニーカー、身長、声、爪の形、右上がりの癖のある字。あり…

彼は顔だけは殴らない

突然ミサキから呼び出されて、何かと思えば夫が暴力を振るうとか。ミサキの夫のヒサノリはわたしの地元の友達で、同じマンションで育った幼馴染だ。5年前、ミサキに彼を紹介したのがわたし。結婚式では「ふたりのキューピッドのアイさんです」と壇上に引っ張…

いつかあなたを裏切るわたし

昼間のカフェで彼氏の不満を口にする女が嫌いだった。口から出る愚痴、入っていくケーキ。 ゆるやかに、けれど延々と悪口は続く。そう、悪口。でも悪口だと言われたら、「そんなつもりはないんだけど」と、彼女は唇を尖らせるだろう。となりのテーブルのカッ…