ゆらゆらタユタ

わたしのブログ

友情

ダイヤモンドは傷つかない

「結婚する」と言ったとたん、目の前のナオミが小さく息を呑むのがわかった。頭に浮かんだであろう「なんで」を飲み込み、彼女はサラリと笑顔をつくる。「おめでとう!」 ナオミとわたしの出会いは中学校だから、付き合いはもう20年になる。当時は特別親しい…

被害者ヅラのアップルパイ

「あ、お疲れ」 「そっちこそ、プレゼンお疲れ様。何とかまとまって良かったじゃん」 「本当だよ。一時はどうなるかと思った」 「Twitter荒れてたもんね」 「本番直前にふたりもバックれたんだよ? 荒れるでしょ」 「まぁそれは……。でも前山さん、今日来てた…

ひとり芝居【恋愛】-主演 春川ハルキ (後編)

前回の話↓ www.yoshirai.com 第三幕・窓の外 ハルキはスツールに腰掛けたまま、ぼんやりと天井に目をやった。懐かしむように一度目を閉じ、スピーカーからの『声』を待った。 ――大学に入学すると、一気に世界が開けた気がした。新たな出会いは刺激的だった。…

ひとり芝居【恋愛】-主演 春川ハルキ (前編)

第一幕・王の生誕 暗い部屋。奥正面には簡易なスツールがあり、ひとりの男が腰掛けている。年齢は30歳前後で穏やかな表情。グレーのシャツにデニムというラフな装いだが、靴や時計は高そうだ。足元には小さなリュックが転がっている。 天井のスポットライト…

糸が切れるふたり

幼なじみって言ったって、好きで仲良くしていたわけじゃない。母のパート先の和菓子屋の娘が、わたしと同い年だった。それだけ。幼稚園児のわたしには、すでに友達がたくさんいたし、近所に従姉妹も住んでいた。遊び相手には困ってなかった。困っていたのは…

彼女が『姉』になった日(後編)

(前回の話)「姉の死により、私の人生も終わった」から始まるその文章は、山田さんの告発だった。 ……姉の命を奪った事故以降、山田さんは姉の代わりになるため生きてきた。家では姉の名で呼ばれ、姉の部屋と遺品を使い、骨を喰らって暮らしていた。8月の終…

彼女が『姉』になった日(前編)

中学生の頃、新聞委員だった。しかも委員長だった(じゃんけんに負けた)。活動は月イチの学年新聞づくり。各クラスの新聞委員から記事を回収し、体裁を整えながら模造紙に貼り合わせるのが、委員長であるわたしと副委員長の山田さんの役割だった。 どこの学…

誰でも良かったはずなのに!

こんにちは!セックスレスの人妻です。 4年前にビビっときて、交際半年で結婚しました。んで新婚5ヶ月でレスになりました。和牛水田似の夫は中学教師。授業に部活に事務作業、いつも遅くまでお疲れ様です。でも毎晩毎晩疲れてるって、疲れてない日はいつです…

平行線のあなたとわたし

「最低、本当に最低。今すぐ死んでほしい」 こんにちは。現場の幡野です。ここは大学の空き教室。寒いくらい冷房が効いています。今すぐリュックから上着を取り出し羽織りたいのは山々ですが、それも厳しい状況です。なぜなら教室にいるのはわたしとアキナち…

家族にもなれないくせにバカみたい どうせ離れていくのに何なの

(こちらの話とリンクしています) 去年の誕生日、彼から花束をもらった。わたしの好きなダイヤモンドリリーがふんだんに使われた大きな花束。幸せな気持ちで花束に顔をうずめるわたしに向かって彼は言った。 「30歳。俺に捨てられたら、無職の家無し30女に…

好きなんて言うなクソボケ嘘つきが 一生タワマンから出るな

あなたが指定したカフェはどの駅からも微妙に遠く、しかもその日は雨でした。約束時間の5分前。わたしは入り口の前でお気に入りの傘についた雫を払い、愛想の良い店員に待ち合わせだと伝えました。 通された席は窓際で、ひんやりとした空気に足先からスカー…

ふりむくな君は #1

「私が見えるの?」 自分に霊感があると知ったのは、高校の入学式だった。自分が一番乗りのはずの教室に女の子がいた。手足が長くて色白で、横顔のラインが美しい。机の上に軽く腰掛け、窓の外をぼんやり眺めていた。 わたしが思わず見惚れていると、彼女が…

それはテメェが悪いです

最近マユカの様子がおかしい? いつものことじゃないですか。はぁ、最近輪をかけて……? サナダさん、何かしたんですか。 ………………びっくりした。いや、こういう時ってだいたい「心当たりはないんだけど」って続くじゃん。不倫してたの? そんでバレたの? コワ…

私じゃダメかと言われても!

はじめてSNSに載せられるタイプの彼氏ができてラッキー! 結婚しようって言われてハッピー! って思ってたら浮気が発覚。最初こそとぼけていた彼は、動かぬ証拠を突きつけられて平謝りしたが、こちらに許す気がないとわかると逆ギレに転じた。それからマウン…

晴橋ヒナコさんへ

晴橋ヒナコさん。 これは全世界へ公開された、あなたひとりへの手紙です。アイキャッチに使った黒猫の写真は、一見なんでもない画像だけれど、あなたにはいつどこで撮られた写真か一目でわかると信じています。名前を晒すことになってごめんなさい。名前の漢…

アヤちゃんと3人のトモダチ #平子

(※こちらの話とリンクしています) これまでの人生で、他人から言われていちばん腹が立ったのは、「空気の読めないフリをしないで」。相手は大学の友人・アヤだった。 --- わたしの育った平子家の家訓は、「いま言わないなら黙ってろ」である。 親は子供は3…

「わたしを離さないで」―花壇で枯れてゆく花たち

ふと本屋で見かけたので、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」を買った。 10年ほど前に読んだ記憶があり、TBSのドラマも観ていたので、流れは把握していた。それでも読んで良かったので、こうして記事を書いている。 ここから先は作品の内容・結末に触…

3人でいても、ふたりとひとり

高校入学初日から卒業までを、ニイナとハヅキと一緒に過ごした。ふたりとも大好きだけど、奇数のグループって難しくて、どうしてもふたりとひとりに感じる時があった。ニイナとハヅキ、それからわたし。境界線はすっごく薄い膜みたいで、無視することも、見…

アヤちゃんと3人のトモダチ#しーちゃん

(※こちらの話とリンクしています。) ユリノから「婚約した」と聞いた時、私たちは新大久保で韓国料理を食べていた。 「おめでとう!」と平子が声を上げ、改めてノンアルコールで乾杯した。数年に及んで元彼を引きずっていたユリノが、新しい彼氏とトントン…

悲劇ならわたしの視界の外で

え、どうしたのこれ。婚約祝い? うそ、ありがとう。開けていい? わぁ可愛いグラス! この作家好きなんだよね。あ、そっか。前に一緒に展示を見に行ったね。 大事にする。……でもわたし、婚約のことアヤに言ったっけ。 // そう、平子のインスタで婚約パーテ…

わたしたちは友達なので

「いじめられてるの?」なんて訊かれて「はい」って言える人間が、言えると思ってる人間が、わたしはまったく理解できない。 担任の徳田先生は、言えると思ってる側の人らしい。平静を装っているけれど瞬きが多く、机の上で組んだ手の動きが忙しない。日直を…

わたしは彼のプリンセス

あ、待って。なにこの空気。 さっきからふたりで目配せして……絶対なにかたくらんでるでしょ。 あー、絶対それ言われると思った。今日はその話題はやめようよ。なぜって、うそ、知らないの? 28歳以上の恋バナは法律で禁止されたんだよ。テレビのニュース見て…

【NANA】小松奈々(ハチ)という女

気づいたらNANAだった 初めてハマった少女漫画がNANAだった。作者はご近所物語、パラダイス キスなどを世に送り出した矢沢あい。2000年の読切から始まったNANAは、作者の体調不良によって2008年から休載中である。 おしゃれな絵柄と魅力的なキャラクターたち…

すごく“大丈夫”な永遠の別れ

「葬式なんて残された人たちのためのお祭りじゃん、っていつも白けた気持ちでいたけど、あんなの可愛いもんだったよね」 清潔な病室でニナはため息をついた。どんなに医療が発展しても、人間は死ぬ時は死ぬ。若くても、才能があっても、どんなに愛されていよ…

全自動お茶汲みマシーンマミコと女友達

マミコちゃんって、女友達少なそうだよね。 金曜の夜、小洒落たフレンチレストラン。マッチングアプリで出会って新しく彼氏(同時進行4人目)となったハルキの言葉に、マミコは少し首を傾げて微笑む。どうして? ハルキは上機嫌にワインを飲み干し、グラスを…

きみは傍観者

夕日の差し込む教室で、整列した机を眺めていた。何十年もこの学校に閉じ込められて、教科書やお弁当、女子高生の尻を乗せ続けてきたわりに、上品な面構えだと思った。 廊下から足音がした。足音だけでアオイだとわかった。お父さんの影響で、あらゆる武道や…

いっそあなたに恋ができたら

大学の同期のリコちゃんは、いわゆる恋愛体質だ。常に好きな人がいて、その人の彼女になったりセフレになったり、どうにもならなかったりで、キャンパスライフは彩り豊かだ。常に情報を送受信する彼女のスマホは過労死寸前。使い込んだグッチのバッグには、…

悪意を垂れ流すあなたのことが、もはや恋より純粋に、

「あんたが男だったら良かったのに」とヒメちゃんはよく言うけれど、実際わたしが男だったら相手にされないのはわかっています。 ヒメちゃんは空気を読めないし、気分屋ですぐ不機嫌になる。自分の感情が最優先で、昨日まで一方的に無視していた相手に「彼氏…

弄んだので刺されています。

こんにちは! 森高エリナです。今、お腹にナイフが刺さっています。大学の後輩である浜本くんをLINEでブロックして2ヶ月、たまにバイトや学校帰りに後をつけられてるのはわかってました。新学期早々、刃物を持って待ち構えていた(そして実行した)彼は実家…

わたしをアンチにさせないで

人生で1番幸せだったのは、高校時代と断言できる。鈴香ちゃんがいたからだ。エスカレーター式の女子校に、高等部から編入してきた水野鈴香ちゃん。思ったことはすぐ口にして、大きな声でアハハと笑う。開けっ広げで明るくて、のんびりしたお嬢様校(笑)の中…