ゆらゆらタユタ

わたしのブログ

口裂け女に「ブス!」と叫べば

内田ゲンペイの趣味は、終わっていることに、道ゆく知らない女に「ブス!」と声がけすることだった。あと混み合う駅で大人しそうな女を狙ってぶつかりに行ったり、エレベーターで女とふたりきりになれば不必要に距離をつめ、怯える様を楽しんだりもした。少…

糸が切れるふたり

幼なじみって言ったって、好きで仲良くしていたわけじゃない。母のパート先の和菓子屋の娘が、わたしと同い年だった。それだけ。幼稚園児のわたしには、すでに友達がたくさんいたし、近所に従姉妹も住んでいた。遊び相手には困ってなかった。困っていたのは…

彼女が『姉』になった日(後編)

(前回の話)「姉の死により、私の人生も終わった」から始まるその文章は、山田さんの告発だった。 姉の命を奪った事故以降、山田さんは姉の代わりになるため生きてきた。家では姉の名で呼ばれ、姉の部屋と遺品を使い、骨を喰らって暮らしていた。8月の終わ…

彼女が『姉』になった日(前編)

中学生の頃、新聞委員だった。しかも委員長だった(じゃんけんに負けた)。活動は月イチの学年新聞づくり。各クラスの新聞委員から記事を回収し、体裁を整えながら模造紙に貼り合わせるのが、委員長であるわたしと副委員長の山田さんの役割だった。 どこの学…

【NANA】高木泰士という男

「NANAは人生」 子供の頃に好きだった本や漫画は、今読み返しても面白い。NANAを初めて読んだのは中学生の頃だと思うけど、むしろ今の方が楽しく読めてる感じもする。ただし連載当時と今では、多くのキャラの印象が変わった。例えば主人公であるナナと奈々(…

魔法使いが盗んだ10年

「就職できませんでした」 リュックとキャリーバッグを抱えたタクマが、うちに転がり込んできたのは2012年の春だった。1年の留年を許した両親も、就活資金と渡した金をパチンコに使われ堪忍袋の緒が切れたらしい。卒業と同時に仕送りは終了。家賃を払えなく…

誰でも良かったはずなのに!

こんにちは!セックスレスの人妻です。 4年前にビビっときて、交際半年で結婚しました。んで新婚5ヶ月でレスになりました。和牛水田似の夫は中学教師。授業に部活に事務作業、いつも遅くまでお疲れ様です。でも毎晩毎晩疲れてるって、疲れてない日はいつです…

平行線のあなたとわたし

「最低、本当に最低。今すぐ死んでほしい」 こんにちは。現場の幡野です。ここは大学の空き教室。寒いくらい冷房が効いています。今すぐリュックから上着を取り出し羽織りたいのは山々ですが、それも厳しい状況です。なぜなら教室にいるのはわたしとアキナち…

全自動お茶汲みマシーンマミコと愛の日々

気づけば2ヶ月、プライベートでテツくん以外の人に会っていない。金曜の夜から日曜の夕方まで、テツくんの部屋で過ごす週末を繰り返している。テツくんと正式に付き合い始めたわけではない。スガワラさんに捨てられ、自暴自棄になったテツくんのそばに、マミ…

家族にもなれないくせにバカみたい どうせ離れていくのに何なの

(こちらの話とリンクしています) 去年の誕生日、彼から花束をもらった。わたしの好きなダイヤモンドリリーがふんだんに使われた大きな花束。幸せな気持ちで花束に顔をうずめるわたしに向かって彼は言った。 「30歳。俺に捨てられたら、無職の家無し30女に…

好きなんて言うなクソボケ嘘つきが 一生タワマンから出るな

あなたが指定したカフェはどの駅からも微妙に遠く、しかもその日は雨でした。約束時間の5分前。わたしは入り口の前でお気に入りの傘についた雫を払い、愛想の良い店員に待ち合わせだと伝えました。 通された席は窓際で、ひんやりとした空気に足先からスカー…

ふりむくな君は #1

「私が見えるの?」 自分に霊感があると知ったのは、高校の入学式だった。自分が一番乗りのはずの教室に女の子がいた。手足が長くて色白で、横顔のラインが美しい。机の上に軽く腰掛け、窓の外をぼんやり眺めていた。 わたしが思わず見惚れていると、彼女が…

それはテメェが悪いです

最近マユカの様子がおかしい? いつものことじゃないですか。はぁ、最近輪をかけて……? サナダさん、何かしたんですか。 ………………びっくりした。いや、こういう時ってだいたい「心当たりはないんだけど」って続くじゃん。不倫してたの? そんでバレたの? コワ…

私じゃダメかと言われても!

はじめてSNSに載せられるタイプの彼氏ができてラッキー! 結婚しようって言われてハッピー! って思ってたら浮気が発覚。最初こそとぼけていた彼は、動かぬ証拠を突きつけられて平謝りしたが、こちらに許す気がないとわかると逆ギレに転じた。それからマウン…

夫が不倫していたので、チキンナゲットをめちゃくちゃ食べる

気持ちのいい春の土曜日です。みなさまいかがお過ごしですか? わたしは泣いています。結婚から2年も経っていないのに、夫の不倫相手に突きつけられた200万円の札束抱えてベッドから天井見上げてるやついる? いねぇよなぁ!!? つーわけでゲロ吐きそうです…

晴橋ヒナコさんへ

晴橋ヒナコさん。 これは全世界へ公開された、あなたひとりへの手紙です。アイキャッチに使った黒猫の写真は、一見なんでもない画像だけれど、あなたにはいつどこで撮られた写真か一目でわかると信じています。名前を晒すことになってごめんなさい。名前の漢…

恋の魔法は一瞬で

(※恋人間の暴力描写があります。苦手な方はご注意ください)バイト先で一目惚れしたたっちゃんは、当時ハタチの大学生だった。切長の目、尖った鼻、薄い唇、黒髪、ちょっとダサいTシャツと汚れたスニーカー、身長、声、爪の形、右上がりの癖のある字。あり…

私の妹にならないひと

中学の頃、隣のクラスの不良の奥山くんに「このままだとお前は絶対にいじめられ心身ボロボロになり家に火をつけられる。俺が守ってやるのでやらせろ」と言われた。やらせた。初体験だった。 3年間、定期的に奥山くんに呼び出された。友達はできなかったけど…

兄の妻になるひと

兄が「結婚したい人がいる」と言うので、相手は当然ハナちゃんだと思った。兄とハナちゃんは高校時代からの付き合いで、お互いの家族も公認の仲。わたしを本当の妹のように可愛がってくれたハナちゃん。彼女が東京の大学に進んだ時は別れてしまうのではと心…

大企業に転職したらデスゲームの運営担当だった件

「栗原さんは総務部に配属予定でしたが、実は社内の極秘プロジェクトでご活躍いただきたいのです」 セクハラジジイとパワハラババアの跋扈するこの世の地獄のようなブラック企業に勤めて2年。社長を殺すか転職するかの二択で迷っていたところ、ダメ元で受け…

アヤちゃんと3人のトモダチ #平子

(※こちらの話とリンクしています) これまでの人生で、他人から言われていちばん腹が立ったのは、「空気の読めないフリをしないで」。相手は大学の友人・アヤだった。 --- わたしの育った平子家の家訓は、「いま言わないなら黙ってろ」である。 親は子供は3…

アンチ活動結果報告(2)

(この話の続きです) 「株式会社白井システム所属、明城大学出身の広田ナコさん。インスタもTwitterも本垢抑えてます。逃げるなら全部晒すから」 『り』と名乗った女の子、YouTuberのシマレナのアンチだったはずのその人は、どう見てもシマレナ本人だった。完…

アンチ活動結果報告(1)

――ご趣味は?――動画鑑賞と、SNSでの中傷です。 映画でもドラマでもバラエティでもなく、わたしはYouTubeが好きだ。特にアイドルや美容系が好き。配信者が使ってるコスメをよく買う。ていうか、今はそうじゃなきゃほぼ買わない。 シマレナを見つけたのは偶然…

全自動お茶汲みマシーンマミコと天罰

悪いことは続くもので、めちゃくちゃ好きな男が本命彼女にすがりつく様を見せられた翌週、知らない人からLINEが来たので見てみたら、不倫相手の奥さんだった。「お話ししたいことがあります」だそうだ。そりゃそうでしょうねとマミコは思った。 土曜日の午後…

仕事も社内恋愛も無理です

ミスの多い生涯を送ってきました。 「添付ファイルをご確認ください」と書いたメールをファイルを添付せず送り……なんてのは全然可愛い方で、取引先の偉い人の名前を間違え、発注数のケタをミスって途方に暮れ、コピー機を詰まらせ、共有ファイルを削除し、社…

「わたしを離さないで」―花壇で枯れてゆく花たち

ふと本屋で見かけたので、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」を買った。 10年ほど前に読んだ記憶があり、TBSのドラマも観ていたので、流れは把握していた。それでも読んで良かったので、こうして記事を書いている。 ここから先は作品の内容・結末に触…

彼は顔だけは殴らない

突然ミサキから呼び出されて、何かと思えば夫が暴力を振るうとか。ミサキの夫のヒサノリはわたしの地元の友達で、同じマンションで育った幼馴染だ。5年前、ミサキに彼を紹介したのがわたし。結婚式では「ふたりのキューピッドのアイさんです」と壇上に引っ張…

3人でいても、ふたりとひとり

高校入学初日から卒業までを、ニイナとハヅキと一緒に過ごした。ふたりとも大好きだけど、奇数のグループって難しくて、どうしてもふたりとひとりに感じる時があった。ニイナとハヅキ、それからわたし。境界線はすっごく薄い膜みたいで、無視することも、見…

わたしという餃子の爆発

今から不倫相手への憎悪を語りますが、「不倫女が何言ってんだ」みたいなところは一旦棚に上げさせてください。これはわたしのわたしによる、わたしのための文章です。 思わず地獄短歌です。 「妻とはセックスどころか会話もなく、離婚秒読み家庭内別居」と…

不幸になったら愛されて幸せ♡

小学校に上がる頃には、母親に好かれていないと気付いていた。「好かれていない」というよりも、「嫌われていた」が近いかもしれない。母は常識があって責任感の強い人だから、兄ふたりとの露骨な差別や虐待はなかった。けれど、ふとした瞬間の表情や、言葉…