殺人
おかしいとは思ってたんです。毎週水曜日、アキラくんの帰りは遅かった。残業だって言うんですけど、彼の職場は水曜、ノー残業デーなんです。でも、内緒でひとりの時間を持つくらい、可愛いもんじゃないですか。だから知らないフリをしてたんですね。 最初に…
第一幕・王の生誕 暗い部屋。奥正面には簡易なスツールがあり、ひとりの男が腰掛けている。年齢は30歳前後で穏やかな表情。グレーのシャツにデニムというラフな装いだが、靴や時計は高そうだ。足元には小さなリュックが転がっている。 天井のスポットライト…
内田ゲンペイの趣味は、終わっていることに、道ゆく知らない女に向かって「ブス!」と叫ぶことだった。あと混み合う駅で大人しそうな女を狙ってぶつかりに行ったり、エレベーターで女とふたりきりになれば不必要に距離をつめ、怯える様を楽しんだりもした。…
「栗原さんは総務部に配属予定でしたが、実は社内の極秘プロジェクトでご活躍いただきたいのです」 セクハラジジイとパワハラババアの跋扈する地獄のようなブラック企業に勤めて2年。社長を殺すか転職するかの二択で迷っていたところ、ダメ元で受けた日本有…
幼い頃から神童と呼ばれ、すくすく育って天才となった。奇抜な発想・泣きぼくろ・ちょっと抜けてるところがチャームポイントの22歳です。 大学生になったわたしは、趣味でアプリの開発をしていた。簡単に言うと、アプリを入れたスマホから、嘘のメッセージを…