ちやほやされるのが好きだった。それは事実です。
大学時代から付き合っている彼とはすでに家族のような関係で、安心感がハンパなく、別れることは考えられない。趣味と笑いのツボが同じで顔が好き。 手も繋がなくなって久しいけれど、寝息を立てる彼の長い睫毛、形の良い唇を見て「わたしたちの子どもはきっと可愛いね」と目を細めるグロテスクな夜を、わたしは愛していた。
それでも他の男と会う必要があるのかと聞かれれば、ない。でも、どうしてもちやほやされたかった。わたしを性の対象とし、こちらの心と体を覗こうとする男の視線のねばつきが、それを隠そうとして演じる余裕が、わたしを気持ちよくしてくれる。彼を裏切るつもりはないので、食事以上はしないがルール。独身の男相手にやると、思わせぶりだのなんだの言われて面倒なので(ぐうの音も出ない)、ここ数年は既婚者とばかり飲みに行っていた。周りに関係を疑われても、「え? あの人結婚してるんですよ、ないない」が言えるように。