ゆらゆらタユタ

わたしのブログ

プロポーズ後の置き手紙

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コウちゃんへ

 

昨日はプロポーズありがとう。一晩考えたんだけど、やっぱり結婚できません。

本当は顔を見て言うべきだけど、こんな手紙を残して出ていくことを許してください。この家にある私の荷物は全部処分して構いません。

これから理由を書きますが、読まずに捨ててくれてもいいです。

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2017年 書いたもの

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2017年が終わります。

今年のはじめ、「月に2回以上ブログを更新しよう」と決めました。挫折したのは翌月です。

夏からは、ありがたいことにAMさんで連載が始まったので、継続的に文章が書けました。ブログの記事が17本(この記事を入れれば18本)、AMでの連載が11本、企画への寄稿が1本。合計29本のうちの10本をまとめました。反応が多かったものではなく、単に自分で気に入ってる順です。年末年始にお時間あれば、読んでもらえると嬉しいです。

 

1【創作】死者とセックス

www.yoshirai.com

「紗江はね、別れた彼氏は全員死んだと思ってるの。だから連絡なんてあるはずないし、あったとしたら心霊現象

-『生きてる元カレのお葬式』からはじまる女の子同士の友情の話。

 

2 【コラム】普通の人生には結婚がマストだったのに…彼氏は別の女と婚約した

am-our.com

「『普通の人生』に結婚はマストアイテムで、彼が与えてくれると信じていたのだ。」

-何年も前の話だけど、書いてからほんとに過去になった感じがする ありがとうトラウマは原稿料になった

 

3 【コラム】彼とわたしの泥仕合

www.yoshirai.com

「正論で責め立て、感情的に罵倒し、それでも彼を呼び出すわたしが何を望んでいたかというと、呆れることに復縁だった。」
-「他の子と結婚するから別れて」からはじまる、元彼氏との泥仕合

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生活のかかった恋だった

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しょうちゃ〜〜〜〜ん。もう無理〜〜〜〜。歩けない〜〜〜〜。

玄関から聞こえる泣き言に、僕は舌打ちして身体を起こした。午前5時半。非常識な姉の朝帰りである。

 

姉が玄関で泣くのが趣味みたいな人だ。

靴も脱がずに、コートも着たまま倒れこんでいる。姉がドラマの主人公で、僕が面倒見のよい弟なら、嫌な顔せず靴を脱がして部屋に運んだりするのかもしれない。でも現実は、姉はちょっと肌荒れしたアラサーで、僕はクマのひどい浪人生である。わざわざ玄関まで来たのは戸締まりを確かめるためだ。案の定、鍵はかかっていなかったので、姉を跨いで施錠する。

 

自分の部屋に戻ろうとすると、姉がスウェットの裾を掴んだ。「しょうちゃん、もう無理。ほんと無理」。もう無理なのはさっきも聞いた。風呂に入って寝ろと告げると、ココアを飲まないと無理だと言う。自分で作れと突き放すと、無理しょうちゃんやってとほざく。何も無理じゃねぇだろと思うが、ここは姉の家であり、僕は居候中の身だ。仕方なく僕は台所に向かい、姉はドロドロに溶けたみたいな「ありがと」を言って、ようやく立ち上がったのだった。

 

僕がミルクを温める間も、姉はグスグス泣いていた。理由はわかっている。失恋だ。

とはいえ彼氏と別れたのはもう半年も前の話で、今日だってどうせ他の男と寝てきたのだ。自分の足で帰ってくるのに、帰宅した途端立てなくなるらしい。

 

「なんでこんなこと繰り返すわけ?」

「だってヒロくんと別れたし……」

「全然理由になってないけど」

 ココアの袋にスプーンを突っ込む。あ、賞味期限昨日。まぁいいか、飲むのこいつだし。

 

「そんな好きだったの?そのヒロくんが」

てっきり「当たり前でしょ!」なんて即答すると思っていたのに、姉は口をつぐんでしまった。沈黙の中で、カップに温めたミルクを注いで、雑なココアを完成させた。かき混ぜながらカップをテーブルに置いてやった時、小さく「わかんない」と聞こえた。

 

「なら別にいいじゃん。次探せば」

「無理」

「なんで」

「ヒロくんっていうか、失恋そのもののダメージがデカい」

テーブルの上に突っ伏したまま、湿った声で姉は続けた。

 

「だって、わたしは……わたしにとっては、生活のかかった恋だった」

僕は聞き返す。「生活のかかった恋?」「そう、生活のかかった恋」。

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汚部屋戦線24時

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もはやこれまで。

 

金曜24時、私は絶望していた。

部屋が汚ねぇ。汚すぎる。いや全然いつものことだけど、明日までに片付くわけがない。本当につらい。マジでもう無理。完全敗北。

 

明日、彼氏が遊びにくる。3ヶ月前から付き合い始めた年下の保育士、悠人くん。前回のデートで家に来たいと言われ、承諾したのを忘れていた。

 

『明日何時に行けばいいかな? お土産にケーキ買ってくね』。

30分前、オフィスの出口でメッセを受信し顔面蒼白。いや、ゆうても徹夜で頑張りゃ人を呼べる程度には……? と甘い期待を抱いて帰宅、ドアを開けた瞬間終わりを確信。今は(いつから敷きっぱなしなのか定かではない)ヨガマットの上に横たわり、クソどうでもいいまとめブログを読んでいた。こんなことしている場合ではない。場合ではないが、どうにもならない。

 

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ねとり女と"正解の男"

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ううん、全然待ってない。お仕事お疲れ様。何か飲む? ……うん。呼び出された理由、わかるよ。宮田さんのこと、だよね?

 

ごめんなさい。佳奈ちゃんが怒るのも当然です。どっちから……。わたしから、になる、と思います。違う、違うの。佳奈ちゃんは大事な友だちだよ。そんな風に思ったことは一度もないです。それだけは信じてほしい。

 

お願いだから、言い訳を聞いてほしい。許してもらえるかわからないけど……。

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嘘は加速する

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22時、日暮里駅近くのセブンイレブン。わたしはコピー機の前に立っていた。プリントアウトされた「仕事やめろ、迷惑」の文字。

 

嘘は加速する

まーくんと付き合い始めて2年と少し。同棲開始から半年が経つ。概ね順調な交際だけど、ぎくしゃくしていた時期もある。原因は彼の妹だった。

 

まーくんと妹は年が離れており、当時妹は就活中だった。続々と届く不採用通知に自信が削られていく中で、彼氏と親友が浮気したとかで、彼女は精神のバランスを崩した。さほど仲の良い兄妹ではなかったはずだけど、地元が遠方なのもあってか、彼女は頻繁にまーくんに連絡を寄越すようになった。時には泣きながら電話をかけてくることもあり、責任感の強いまーくんはそんな妹を放っておけない。呼び出されれば慰めに行き、就活のアドバイスをしたり、時には小遣いをあげたりしていた。

 

最初は理解のある彼女を演じて「行ってあげたら」なんて言っていたわたしも、ディズニーランドで置き去りをくらった時は流石にムカついた。ケンカは次の日、わたしの部屋に持ち越しになった。始めは平謝りだった彼も、いつまでも機嫌を直さないわたしにうんざりしたようで、「でもあいつ今弱ってるんだよ。君は悩みなんかないんだから」と言い放った。

 

悩みのない女なら置き去りにしていいってわけでもないだろう。そう反論すれば良かったのに、『悩みがない』と言われたことがなぜか無性に悔しくて、「……ないわけないじゃん……」なんて言ってしまった。咄嗟に口から出たわりに、何だか深刻なトーンになった。

 

その場で悩みを考えてみたけど、仕事もうまくいっていたし、恋愛も、まーくんの妹の件以外には特に大きな不満はなかった。あれ? わたしってけっこう幸せ? 我慢してあげるべき?と思いかけたその時、まーくんがはっとした顔で頭を下げた。「ごめん。俺の前ではいつでも明るいから、悩んでるなんて気づかなかった」。そのまま優しく抱きしめられて、わたしはなんと、泣いたのである。生理前だったからかもしれない。

 

堰を切ってしまうともう止まらず、わたしは理由なき涙で彼の胸を濡らし、しゃくり上げるほどにわんわん泣いた。泣きながら「なんだか大きな悩みを抱えてる風になってしまったな」と焦った。悩み……なんだろ……将来の年金、とか、かな……。

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濡れないわたしが景品の夜

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いいですよ。ホテル行きましょう。

どうして驚いてるんですか? そのつもりで誘ったんですよね。あ、もう一杯頼んでいいですか。終電気にしなくていいんだし、あと少しおしゃべりに付き合ってください。

 

わたし、全然男運ないんです。

初めての彼氏は中学の先輩で、処女を食い荒らすのが好きな人でした。そこからロリコン教師、DV男、前科持ち、暴走族の下っ端とか、そうそうたる面々と付き合ったり、付き合えなかったり、貢がされたり殴られたりで、結構悲惨な10代だったな。

 

それでも20代になって、優しい彼氏が出来ました。かっこいい人じゃなかったけど、とにかく心のある人で。その人と初めてセックスした時、これが「抱かれる」ってことかってちょっと感動したりしました。今までは「ヤられる」だったんで。

 

すごい幸せだったんですけど、半年もしないうちに、わたし全然濡れなくなっちゃったんですよね。彼は結構頑張ってくれたし、わたしも大丈夫だから挿れて! なんて言ってみたんですけど、そういう人に限って、無理しなくていいんだよって中断してくれちゃうんですよね。それが本当に辛かったです。

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