ゆらゆらタユタ

アラサーとゆとりを取り巻くもろもろ

全自動お茶汲みマシーンマミコとマミコをぺしゃんこにする男

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驚くべきことに、最近のマミコはひとりの男に入れあげている。テツトくん。広告代理店に勤めるサラリーマンで、マミコの大学時代の元カレである。

 

テツトくんとは大学3年から、1年半ほど付き合った。マミコが今の会社へ入社を決めるにあたって、彼と結婚する可能性はひとつのポイントだったりしたが、就職してすぐあっさりフラれた。他に好きな人ができました。お前と違って頭が良くて自立した子です。お前とは同じレベルの議論ができないし、一緒にいてストレスだった。別れ話では、だいたいそんなことを言われた。1年後には婚約したらしいと聞いたが、現在マミコの前にいる彼の左手に指輪はない。

 

数ヶ月前、何の前触れもなく連絡がきた。実に数年ぶりだった。食事の日程を決めてから、マミコは全力で美容にコミットした。吟味に吟味を重ねた結果、ファンデはイプサのファウンデイションアルティメイトにした。多少値は張るがコスパは超絶、重ね塗りしても不自然さゼロ、時間が経つと更に馴染んでツヤツヤ。2月の時点で今年のベストコスメが決定した(※1)。目元にはルナソルのマカロングロウアイズを使い、ちょっと泣いた後みたいな赤みを足した(※2)。

 

その甲斐あって、再会は大成功だった。テツトくんは今の彼女といても安らげないんだよな……みたいな戯言を言い、マミコはマミコでテツトくんのこと、ずっと忘れられなくて……みたいな寝言をほざいた。そして、やっぱりマミコといると落ち着く……みたいなことを言いながら彼がマミコの手を握り、わたしも……とマミコは涙をうかべてはにかんだ。

 こうした茶番を経て、マミコとテツトくんは頻繁にデートをするようになった。会うたびに、テツトくんはマミコを可愛くなった、成長した(?)と誉めそやした。そうしてデートを重ねるうちに、マミコは彼が連絡してきたわけを悟った。彼は結局、賢い女と付き合える器じゃなかったのだ。

 

テツトくんは自分の作った枠から飛び出さない、平面的な女が好きだ。女はテレビの映像みたいなもので、目では見えるがそこにいない。だから議論相手にはなり得ないし、知的な返答も期待しないし、綺麗で心地よくあればいい。

 

それなのに、賢い彼女は立体だった。枠から飛び出す言動は、最初は新鮮だったに違いない。でもある日、彼は気づいてしまったのだ。そういう奥行きを、自分は女に求めていない。だから籍を入れるのに躊躇して、婚約期間は2年を突破し、元カノにちょっかいかけている。……と、マミコは推測している。



テツトくんは、賢い女なんか好きじゃない。たぶん自分でもわかっているけれど、それでも頭のいい子がタイプ、つか俺バカな女とは付き合えない……と、そういうことにしておきたい。その方がカッコいいからだ。マミコはそれなりの大学を出ているため、賢い女が好きという設定とギリギリ折り合いがつくようだった。ウケる。

成長した、なんて親か上司みたいな褒め方をするのは、以前マミコをボロクソに言った矛盾を解消しているんだろう。自分は“成長した”マミコの知性に惹かれている。手頃で思い通りになる元カノに安易に戻ったわけではない、と。なるほどなるほど。ひとり遊びが上手で何よりだ。



女の子はそれでいいんだよ。やっぱり女の子はこうでなきゃ。ね、マミコ?

テツトくんは会話の節々で、マミコを枠の中に押し込めてきた。うん♡うん♡マミコは素直にぺしゃんこになって、奇妙な幸福を噛み締めた。決めつけられる安心感や、断言される快感は絶対にあるとマミコは思う。テツトくんといるときのマミコは、ぺしゃんこのペラペラで楽チンだった。


端的に言えば、マミコはバカにされている。でもマミコは、テツトくんのそういうところが大好きで、はっきり言ってときめいている。テツトくんがマミコを見る目はショウタと違って醜悪だけど、正解だからキモチイイ。



……つまるところ、マミコは男の趣味が最悪だったし、テツトくんの顔は最高だった。彼は中島健人に似ている。

 

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(※1)

イプサのファウンデイションアルティメイトは、1万越えだがブラシ付きの上まったく減らず、仕上がりも綺麗。

 下地もいらないタイプだが、肌診断をしてピンクの下地を併用している。

(※2)

ルナソルのマカロングロウアイズは甘すぎない色味と質感で本当に使いやすい。下の段のブラウンにも赤みがあって、血色がよく見える。かなり使いやすいピンク。

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