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アラサーとゆとりを取り巻くもろもろ

「こんなファッションは痛い」特集に慰められていたころの話

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今朝タイムラインを眺めていたら、この記事が炎上していた。

otonasalone.jp

上品さや清潔感とは対極の位置にあるロックTシャツは、10代〜せいぜい20代前半までしか許されないアイテムです。精神的に大人になり切れていないのかな、常識がなくて変わった人なのかな、と思われたくなければ、部屋着やパジャマにするのもやめて、こっそり思い出とともにしまうか、断捨離リストへ入れてください。

 「許されないアイテム」「大人になり切れていない」「常識がなくて変わった人」。

強い言葉が並んでいて、読む人が不愉快になるのも無理はない。けれど、わたしはこういう記事を書く人と、こういった記事を求める人の気持ちがわかる。まとまらないかもしれないが、そのことについて文章にしてみたいと思う。

 

「若いうちしか着れないよ」

 子供の頃、わたしはピンクやひらひらのついた洋服が着られない子供だった。親が買ってくれなかったのではなく、わたし自身がそれを拒否した。無理強いはされなかったが、「せっかく女の子を産んだのに」と母親は残念そうだった。

 

 当時、地元でロリータ風の女性を見かけることがあった。フリルのついたスカートのふんわりとしたシルエットや、頭にのせた大きなリボンを今でもはっきり覚えている。年齢は30代後半か、40代くらいだったと思う。近所ではちょっとした有名人だった。

 

「若い頃に可愛い格好しておかないと、年をとってからああなっちゃうかもよ」

その人とすれ違ったあと、わたしにだけ聞こえる声で、母がそう言った。たぶん冗談だったんだと思う。でも、「ああなっちゃう」ーー年齢にそぐわない装いは、とても恥ずかしいことだという考えは、頭に植え付けられて残った。

 

 

若くないからあきらめること

 以前、twitterでこういうアンケートをとった。

 このアンケートはわたしのツイートが届く範囲の人の意見だし、ファッションに限った話でもないけれど、年齢を理由に何かをあきらめる女性はやはり少なくないようだ。

 

 わたしは高校卒業時に「髪をふたつに結ぶのはやめよう」と決めたのが最初で、以降色々なものを手放してきた。くだらなく思えるかもしれないが、「痛い」と思われることが何より怖かったのだ。手放すたびに、若さの階段をちょっとずつ降りていくような感覚になった。

いつまでも上の段にいると、世間から撃たれると思っていた。だから撃たれる前に自分から降りて、「わきまえた女」を気取りたかった。

 

 でも、ファッションに正解はない。学校で「25歳以上のミニスカートは禁止です」なんて教えてくれるわけもないから、世間の空気を読みながら自分を締め上げる他なかった。とはいえ、うかつに「25歳以上のミニスカートはナシだよね?」なんて口にはできない。目の前の相手は昨日、ミニスカートを買ったばかりかもしれないのだ。

 

痛くない自分を褒めてほしい

 今回炎上したような「これをやったら痛い」系の記事は、そういう考えの人にはとても有用だ。役に立つというか、「じゃあ、これをやらなきゃ痛くないんだね」という安心感をくれるのだ。

 

 色々なものを勝手に手放していたわたしは、自分が捨ててきたものを楽しんでいる同世代に対して、なんとも言えない感情を抱いていた。

それは「まだそれやってるんだ。若いね(笑)」みたいな見下しに「ずるい」「なんで?」なんて嫉妬も混じったぐちゃぐちゃの泥みたいな、とても表には出せない醜い思いだった。そういう泥を、体裁を整えて発信してくれるのが今回炎上したような記事だ。

 

 語り口が辛口であるほど、「そうそう、わたしよりずっと痛い人、いるよね」と他人が下がり、自分が上がった気持ちになる。だって、空気を読んであきらめても、誰も褒めてくれないのだ。痛くないわたしが褒められないなら、痛い誰かを攻撃してもらう他ない。

泥にまみれた25歳ぐらいの頃に似たような記事を読んだなら、正直すっきりしただろうなと思う。

 

 わたしがそういう「痛いと思われたら死ぬ」みたいな自意識から抜け出して、ほんとうの意味でファッションを楽しめるようになったのは、ここ数年の話だ。

子供の頃は着られなかったピンクも着るし、ノースリーブも大好きになった。「いつまでも若いつもりでいると撃たれる」と思っていたけれど、あまり気にするようなことでもない。多少は撃たれるかもしれないが、玉は銃弾ではなく輪ゴム程度だ。輪ゴムであってもウザいけど、死なない。

 

 18歳、二つ結びをあきらめた頃、「じゃあ30手前になったら、どんな格好をすればいいんだろう」とちょっと怖くなったのを覚えている。

 現在29歳のわたしは昔よりファッションを楽しめているし、憧れだったブランドの服も買えるし、自分で縛ることなんかないよと、あの頃の自分に伝えてあげたい。

 

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