ゆらゆらタユタ

アラサーとゆとりを取り巻くもろもろ

女の子だから、ニコニコ笑ってお掃除をして、あなたの帰りを待ってるわ。

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西に女同士の諍いあれば、「女は陰湿」と怯える者あり。東に男女の争いあれば、「女って怖ぇw」とはしゃぐ者あり。インターネットは今日も楽しい遊び場である。

女として20年以上生きてきた。

誰かと直接言い争いをしたことも、水面下での情報戦を繰り広げたこともある。でもそれは女子特有のものではなかった。男子は男子でいじめがあったはずなのに、「怖い」と言われるのはいつだって女の方だった。

  

「半沢直樹」と「ファーストクラス」

堺雅人さん主演の「半沢直樹」は銀行内の派閥と権力争いを描いたドラマだ。一方、沢尻エリカさん主演の「ファーストクラス」はファッション誌の編集部が舞台(第一期)。前者は主に男性同士、後者は女性同士がえげつない戦いを展開していた。

わたしはどちらのドラマも楽しく観ていたが、ファーストクラスの感想には「やっぱり女って怖い」という意見が目立っていた。

反面、半沢直樹はあいつが悪い、こいつが卑怯だという感想はあっても、「男は怖い」という声は少なかったように思う。悪くて卑怯なのは男性ではなく個人なのである。

男同士の戦いは熱いバトル、女同士の戦いは陰湿な小競り合いとして描かれがちだし受け取られがちだ。この差はいったい何なのだろう。

 

女は優しい生き物だから

「女は怖い」という人たちは、女性への期待が大きいのだと思う。

「女は優しい生き物で、争いを好まず譲り合う。あらゆる欲が男性より低くでしゃばらないが、求められれば喜んで受ける」そんなイメージがあるように感じる(※1)。

 

わたしは人は期待を裏切られた時に相手を嫌悪すると思っているのだが、その期待のハードルが女性に対しては異様に高い。だから世間は優しくない女に厳しいし、出世したがる女は疎まれるし、性欲の強い女は問答無用でビッチだ。優しい生き物が陰湿さを垣間見せた時、その印象は強烈だ。譲り合うはずの女同士の争いは、イレギュラーでありある種のエンタメとして消費される。

 

『女の子だから、ニコニコ笑ってお掃除をして、あなたの帰りを待ってるわ。』このタイトルには今までわたしが触れてきた「女性は〜〜すべき」というイメージを詰め込んだつもりだ。

愛嬌を振りまくこと、掃除をはじめ家事をそつなくこなすこと。評価や対価は求めないこと。それらをごちゃごちゃ言わずに「女の子だから」と受け入れること。

すべての期待に応える女性もいないことはないのだろうが、それはこの世に存在するすべての犬の中の、チワワくらいの割合ではないだろうか。チワワだけを犬だと信じてきた人は、ブルドックを見たら驚くだろうし、猛るアイリッシュ・ウルフハウンドを見たらおそらく失神する。その後はチワワ以外は犬と認めなくなるか、「犬」と聞けば震えが止まらなくなる、かもしれない。

 

女性が特別とは思わないが、女性は男性と同じ程度には優しい生き物だと思う(※2)。

そして男性と同じく陰湿で、同じくらいに怖い生き物だ。男にも女にもヤバい奴はいるし、とても素敵な人もいる。

 

そんなことを、タイムラインで「女は怖い」という話題を見かけるたびに考えている。

 

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(※1)最近は子育ての話題で、完璧な育児を求められて疲弊するお母さんたちを見るたびに心が痛む。「完璧な母性で子供を包み込み、正しく愛することができる」というのも、女性のハードルだなぁと思う。わたしも自分の中にそんなハードルを作ってしまっているので、産んでからそうなれなかった時のことを考えると怖い(予定はびっくりするほどない)。

 

(※2)男性は男性で、何があってもへこたれない強さと女性を凌駕する経済力を持っているべきとする価値観は未だに強いから、それに合わない人はしんどそうだ。「男だから〜〜すべき」「女は〜〜しないべき」という考えはつまらないし皆が息苦しくなるだけだから、次の世代はなるべく染まらないでほしい。