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タラレバ娘は結婚したいか

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東京タラレバ娘の放送がスタート

日本テレビでドラマ『東京タラレバ娘』の放送が始まった。

原作は東村アキコさんの漫画で、主演は吉高由里子さん。「女子のリアルが刺さりまくる、共感度100%」のドラマらしい。

「(面白いけど)見ていて辛い」という感想を多く見かけたので、その辛さについて思うことを書いてみる。

「お母さん」になりたいコドモ

20数年前の私は、将来の夢を聞かれれば「お母さん」と答える幼稚園児だった。私が特別だったわけではなく、「お母さん」は「お花屋さん」や「セーラームーン」と並んだ将来の夢・三大派閥の一角だったように思う。当時の母は専業主婦だったから、私にとってはお母さん=専業主婦とも言える。

セーラームーンはともかく、幼稚園児の私にとって、「お母さん」は花屋と同じく望めばなれる「職業」だった。ちなみに「お父さん」と書いた男の子はいない。彼らにとって「お父さん」は「職業」ではなかったのだ。

 

 女の子を取り巻くフィクション

シンデレラや白雪姫、女の子が幼い頃から親しむフィクションは「その女の子は若くて綺麗だったので、良い子にしていたら周りが助けてくれました。結果、素敵な人から求婚されました」という筋書きのものがあまりに多い。そしてその先は描かれない。

もちろん女の子たちがいつまでも専業主婦だけを夢見て生きているわけではないが、ハッピーエンドに結婚は必須という価値観は、この頃から作られ始めるのかもしれない。

 

「普通に」結婚できる私達

ドラマの中で、数年前の主人公たちが「誰々はつまんない男で妥協した」「誰々は婚活に必死」などと友人を見下すシーンがある。会話の裏には「私たちは必死にならなくても素敵な人と結婚できる」という確信がある。

なぜなら彼女たちは「イケてなくないし、仕事も頑張っている」のだ。シンデレラは意地悪な姉たちのイビリに耐えても、女中として城に潜り込んで王子に色仕掛けはしない。努力の方向は婚活ではないのに、結果として結婚相手を手に入れる。

それに彼女たち(や、同世代の女性たち)にとって結婚は特別なことではない。自然とできるはずなのだ。できない女はモテない女、モテない女は「イケてない」。「イケてなくない」彼女たちが結婚「できない」ことなどありえないのである。

 

「負け犬」は罪か

テレビをつけると、ある程度の年齢で独身の女性芸能人は負け犬の扱いを受けている。芸能界で活躍できる彼女たちでさえ、独身であるだけでイジられ、なぜできないかを議論される。

独身であることがモテる・モテないと直結するとも限らないのに、モテるためのアドバイスを有難がらなければならない。それは「普通のことができなかったから」仕方がないことなのだろうか?

 

一生働くという覚悟

また、わたしがかつて夢見た「お母さん」は家庭外での仕事を持たない専業主婦だった。ドラマの中の3人はそれぞれ仕事をしているが、社会には未だ腰掛け文化も根強く残る。

結婚がゴールであった女の子にとって、仕事は結婚までの一時的なものなのだ。そんな女の子たちにとって仕事は一生暮らす家ではなく、数年で転居する予定のアパートなのである。アパートは駅から離れていても、多少古くても良い。同じく仕事は賃金が安くても、続けられる仕事でなくても良い。どちらも一生ものではないからだ。

これは男性にはない考え方だと思う。幼い頃から期待され続けた彼らの中には、当然のように生涯働く覚悟(あるいはあきらめ)が出来上がっている。仮に一時期はアパート暮らしでも、彼らはその先に一生住む家のビジョンを見ている。

女の子たちは、彼らの「一生の家」に招き入れてもらえるはずだった。

 
では、覚悟がないのは怠惰だから?

それは違う。彼女たちは求められるまま素直に育っただけだ。高齢の独身女性が負け犬とされる現実がある。そして社会がそれを笑うためには、負け犬は少数であるべきなのだ。普通の人が結婚する土壌があってこそ、負け犬いじりは成立する。

「家は自分で建てるもの」というメッセージが、女の子相手には著しく弱い。「女に学はいらない」と言い放つ人間も未だいる。

若いうちに一生の家を持つ選択肢を知り、努力を後押しする環境があった女性は幸運だ。運に恵まれなかった女性は、なんとなく結婚をゴールに設定したまま、選ばれるための努力を続けなければならない。

 

結婚も、多分悪くない

とはいえ、結婚に幸せを感じる生き方が悪いわけではない。社会でバリバリ働くよりも家事をこなしながら、誰かのサポートをする生き方が合っている人も当然いる。


最近「未婚と既婚」は、自転車通勤と電車通勤くらいの差でしかないのではないかと思う。両者に優劣はなく、電車に乗りたい人は乗ればいいし、自転車が良ければそれでいい。社会に残る「自転車通勤?電車賃ないの(笑)?」といった風潮はなくなれば良い。自分で風を切って進みたい人を無理やりホームに並ばせて、誰かが幸福になるとは考えづらい。

 

タラレバ娘は結婚したいか

ひと言で言えば(作中でも台詞がある通り)「したい」のだろう。でもそれは、本当に結婚そのものがしたいのだろうか。「負け犬」にならずに済み(もっと言えば安心して負け犬を笑う立場を得て)、自分で自分を養う不安から逃げるための手段だとしたら、それはあまりにも悲しくないか。

『ひとりで生きていけるふたりが、それでも一緒にいるのが夫婦だと思う』

これはティファニーの有名なコピーだが、本当にその通りだと思う。


誰かに守られて生きるのは悪くない。でも、結婚しない女も「イケてる」し、1人で生きていけるのは格好良い。

タラレバ娘の漫画は好きだし、ドラマも多分最後まで見る。でも次は、自転車で颯爽とかけていく女性のドラマが見たいなと思った。

 

鎌田倫子、30歳、独身、彼氏ナシ。職業=(売れない)脚本家。「キレイになったら、もっといい男が現れる!」「好きになれれば、結婚できる!!」

(略)

頑張ってないわけじゃない、でも、まだ幸せにたどりつけてないタラレバ娘たちがもがきながらも、幸せ探して突き進む!!

イントロダクション|東京タラレバ娘|日本テレビ

 

蛇足

今回の主題とは逸れるが、私がタラレバ娘が好きなのは女同士の友情がきちんと描かれているからだ。「女の敵は女」という言葉はよく聞くが、私はそうではないと思う。その辺りは別の機会に書きたい。

原作マンガはこちら。ドラマはまだ1話だが、漫画の方が私はすき。

1巻を読むと多分全部読みたくなるので、1~5巻セットはこちらから。