ゆらゆらタユタ

わたしのブログ

創作

わたしは彼のプリンセス

あ、待って。なにこの空気。 さっきからふたりで目配せして……絶対なにかたくらんでるでしょ。 あー、絶対それ言われると思った。今日はその話題はやめようよ。なぜって、うそ、知らないの? 28歳以上の恋バナは法律で禁止されたんだよ。テレビのニュース見て…

今、あなたの最寄りにいます。

ちやほやされるのが好きだった。それは事実です。 大学時代から付き合っている彼とはすでに家族のような関係で、安心感がハンパなく、別れることは考えられない。趣味と笑いのツボが同じで顔が好き。 手も繋がなくなって久しいけれど、寝息を立てる彼の長い…

愛のため戦え!

姉は常軌を逸した面食いだった。 好きになる男は全員飛び抜けて顔が良く、「ダサいけどよく見たら」という隠れイケメンではなくて、自分の美しさを自覚して飾り立てる男たちだった。20代の姉は、深夜でも呼びだされればタクシーに飛び乗り、しょっちゅう泣か…

すごく“大丈夫”な永遠の別れ

「葬式なんて残された人たちのためのお祭りじゃん、っていつも白けた気持ちでいたけど、あんなの可愛いもんだったよね」 清潔な病室でニナはため息をついた。どんなに医療が発展しても、人間は死ぬ時は死ぬ。若くても、才能があっても、どんなに愛されていよ…

全自動お茶汲みマシーンマミコと女友達

マミコちゃんって、女友達少なそうだよね。 金曜の夜、小洒落たフレンチレストラン。マッチングアプリで出会って新しく彼氏(同時進行4人目)となったハルキの言葉に、マミコは少し首を傾げて微笑む。どうして? ハルキは上機嫌にワインを飲み干し、グラスを…

きみは傍観者

夕日の差し込む教室で、整列した机を眺めていた。何十年もこの学校に閉じ込められて、教科書やお弁当、女子高生の尻を乗せ続けてきたわりに、上品な面構えだと思った。 廊下から足音がした。足音だけでアオイだとわかった。お父さんの影響で、あらゆる武道や…

死んだ先輩と転職活動

会社の先輩の森さんの話なんだけど、彼女は普通にいい人なのね。いつも穏やかで優しくて、 怒ってるところは見たことない。ていうか、いつも笑ってる。ただ明るいってのとはちょっと違って、レベル1の笑顔をずーっと顔に乗せてるみたいな。 でね、この森さん…

いっそあなたに恋ができたら

大学の同期のリコちゃんは、いわゆる恋愛体質だ。常に好きな人がいて、その人の彼女になったりセフレになったり、どうにもならなかったりで、キャンパスライフは彩り豊かだ。常に情報を送受信する彼女のスマホは過労死寸前。使い込んだグッチのバッグには、…

同情するなら彼をくれ!

妹は、わたしの夫が好きらしい。 --- 30歳の誕生日に大失恋して、その足で結婚相談所に駆け込んだ。年収・身長・年齢などのあらゆる数値のお見合いをして夫と出会った。入籍は31歳になる2ヶ月前だった。 お互いのゴールは結婚であり、それを達成してしまった…

わたしの神棚

ナンパされるのは嫌いじゃない。よっぽど気持ち悪い男でなければ、その日のうちにホテルまで行く。 今日も滞りなくセックスは終わった。男がシャワーを浴びている間、わたしは彼の持ち物を物色することにした。初めて会って寝た男から、物を盗むのが趣味なの…

令和本命会議

ーーこの男、やはり他にも女がいる!! 夏野ナツコが天啓を受けたのは、ある静かな夜のことだった。彼氏の春川ハルキは憎らしいほどスヤスヤと、穏やかな寝息を立てている。 神は言った。ただちに他の女どもを蹴散らし、あなたこそが本命であると証明するべ…

悪意を垂れ流すあなたのことが、もはや恋より純粋に、

「あんたが男だったら良かったのに」とヒメちゃんはよく言うけれど、実際わたしが男だったら相手にされないのはわかっています。 ヒメちゃんは空気を読めないし、気分屋ですぐ不機嫌になる。自分の感情が最優先で、昨日まで一方的に無視していた相手に「彼氏…

正方形の恋人

高畑さん、おかえり。遅かったね。 2時間くらい待っちゃった。ん? 何しに来たって、集金だよ。今月振込なかったから。とりあえず中入れてくれる? スマホの充電切れてんだ。 お腹空いちゃった。何か食べるものある? そう、作ってくれるんだ。ありがとー。…

弄んだので刺されています。

こんにちは! 森高エリナです。今、お腹にナイフが刺さっています。大学の後輩である浜本くんをLINEでブロックして2ヶ月、たまにバイトや学校帰りに後をつけられてるのはわかってました。新学期早々、刃物を持って待ち構えていた(そして実行した)彼は実家…

わたしをアンチにさせないで

人生で1番幸せだったのは、高校時代と断言できる。鈴香ちゃんがいたからだ。エスカレーター式の女子校に、高等部から編入してきた水野鈴香ちゃん。思ったことはすぐ口にして、大きな声でアハハと笑う。開けっ広げで明るくて、のんびりしたお嬢様校(笑)の中…

全自動お茶汲みマシーンマミコの本命彼氏の本命彼女

仕事終わりに、珍しくテツくんから着信があった。テツくんとはマミコの家で会うのがほとんどだが、たまにデートみたいなこともする。マミコはマスクでも崩れないシュウのファンデ、アンリミテッドグローフルイド(※1)をロージーローザのジェリータッチスポ…

件名:先日の別れ話について

2020年11月18日 10時15分 件名:先日の別れ話について 宛先:今泉 衛差出人:水野 鈴香 今泉さん お疲れ様です、恋人の水野鈴香です。 先週金曜、今泉さんからの唐突な『別れよう』というLINEに対し、何度か問い合わせをしておりますが、ご回答をいただけま…

はいはい、わたしがやりました。

え、サオリさんがネットで中傷されてる? インスタですか? Twitter? うそ、フリマアプリまで? なんだか最近、投稿少なくなったと思ってたんですけど……そういうことだったんですね。 うわぁ、かなり酷いですね。サオリさんあんなに良い人なのに。こういう…

さよなら店長、地獄行き

「次に付き合う人の人生は、めちゃくちゃにしようと思ってるんです」 休憩中、なりゆきで一緒にお弁当を食べることになった島本さんの発言に、あやうくお箸を落とすとこだった。島本さんはわたしと同じ本屋で働くアルバイト。学生の頃からこの店にいて、勤続…

うさぎとカメ#カメのかなめちゃん

※こちらの話とリンクしています 昔々、従姉妹と一緒にお受験し、ひとりだけ落ちた女の子がいました。わたしです。 「ほら、うさぎとカメなのよ。うちの子うさぎなだけだから」 親族のお花見で、ほろ酔いの叔母さんがそう言った瞬間、わたしは『カメちゃん』…

うさぎとカメ#うさぎのサキちゃん

いとこのカメちゃんとは、小さい頃から仲良しだった。カメちゃんというのはもちろんあだ名で、童話のうさぎとカメからきている。 わたしとカメちゃんの母親どうしが姉妹で、娘のわたしたちは同い年。自分で言うのも何だけど、わたしは容姿とコミュ力にそれな…

テニス、セックス、ヘッドスパ

30になってもセックスの良さがイマイチ分からず、女友達が絶賛するセフレと寝てみることにした。 「絶対に好きになりません」 「セックスは1回きりです」 「連絡先は消去します」 そんな念書まで書かされたので、「ランちゃんが彼を好きなら遠慮するよ」と言…

全自動お茶汲みマシーンマミコと指輪とセックス、あと殺意

テツくんの言う、今日家行ってもいい? が今日生理じゃないよね? の意味だと知ったのは、大学3年の頃だった。 家に行ってもいい? を言葉通りの意味だと誤解した当時のマミコは、生理中にも関わらずテツくんを招いて夕食をふるまい、マークスアンドウェブの…

全自動お茶汲みマシーンマミコとマミコをぺしゃんこにする男

驚くべきことに、最近のマミコはひとりの男に入れあげている。テツトくん。広告代理店に勤めるサラリーマンで、マミコの大学時代の元カレである。 テツトくんとは大学3年から、1年半ほど付き合った。マミコが今の会社へ入社を決めるにあたって、彼と結婚する…

慰謝料600万の恋

内容証明郵便ってやつを、生まれて初めて受け取りました。彼の奥さんからでした。彼の奥さん? ……はい、不倫をしてました。相手は職場の上司です。 慰謝料……って、あの……。いや、わかってますよ。配偶者に浮気された場合、その不倫相手にも請求できるんでし…

宮田和成は親友の形見

「もう帰っちゃうの?」 甘える腕をふりほどき、わたしは彼の家を出た。 三軒茶屋の駅近マンション。とはいえ電車はとっくに終わってるから、もうタクシーに乗るしかない。あと数時間待てば始発が出るけど、ことを済ませた男の部屋で、時間を浪費する術をわ…

嘘つきロミオと絶対死なないジュリエット

幼い頃から神童と呼ばれ、すくすく育って天才となった。奇抜な発想・泣きぼくろ・ちょっと抜けてるところがチャームポイントの22歳です。 大学生になったわたしは、趣味でアプリの開発をしていた。簡単に言うと、アプリを入れたスマホから、嘘のメッセージを…

ヨウくんと女と女と女

2年前と同じく、よく晴れた気持ちのいい日だった。 日差しは柔らかく、風はさわやかで、まさに結婚式日和。チャペルはステンドグラスが素敵だったし、披露宴会場は天井が高くて開放感がある。見事な庭園を絵画みたいに切り取る窓。テーブルやブーケにあしら…

全自動お茶汲みマシーンマミコとマミコのことが大好きな男

3月14日、仕事終わってから会える? とショウタから連絡があったのは、3月のはじめのことだった。ショウタはマミコのことを彼女と思っている男のひとりで、今や1番の古株である。ナカモトショウタ、24歳。友人と起業した会社でゲームやアプリを作っている。 …

ワンナイトラブにラブはあるのか

花から花へ、蜜を吸うようにワンナイトラブを繰り返しているわたくしですが、先日ひとりの友達に「何がワンナイトラブだよキモ、どこがラブだよマジキモい、ヤリ捨てされてるだけじゃんほんとキモ」と言い捨てられて、思うところがあったのでこうしてブログ…