(※恋人間の暴力描写があります。苦手な方はご注意ください)
バイト先で一目惚れしたたっちゃんは、当時ハタチの大学生だった。切長の目、尖った鼻、薄い唇、黒髪、ちょっとダサいTシャツと汚れたスニーカー、身長、声、爪の形、右上がりの癖のある字。ありとあらゆるポイントがわたしのストライクゾーンど真ん中。バッターアウト、ノックアウトです。
それから2年、誇張ではなく2000回は「好きです」と伝えて2000回フラれた。いや、出会いから1年後には「好きです」の「す」で「勘弁してくれ」と真顔で言われるようになり、そこからさらに半年経つと、目が合うだけで「無理だから」と斬られるようになったので、実質4000回はフラれてる気もする。仮分数……。
ラブレターを彼のエプロンのポケットに忍ばせ「ゴミを入れるな」とマジギレされて号泣したのも、今では良い思い出です。恋愛成就で有名なパワースポットに通い詰め、大学生にもなって「彼を振り向かせるおまじない♡」なんてのは片っ端から試した。神の力か、おまじない効果か、はたまた酒をしこたま飲んでスクランブル交差点の真ん中で「付き合ってくれなきゃ死にます!!」泣き叫んでその場に転がったからか、彼女になることができました。渋谷のコンクリートの冷たさを額に感じてから5年。わたしも大人になりました。
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