「連絡、来るって思ってました。
あのお別れから約1年。
あの子とはまだ続いてるんですね。ううん、いいの。大丈夫。だってもうすぐ終わるから。あなたはわたしのところに帰ってくるって、最初からわかっていましたよ。
あの日あなたに言われた言葉、今でもはっきり覚えています。
『お前は子供っぽく、ワガママで頭が悪い。ファッションと芸能人にしか興味がなくて、政治や経済のことは知らないし、無知を恥じる知性すらない』。
回りくどかったけど、要するにそういうことでしたよね。対する“あの子”は、
『頭の回転が早く勉強家で、俺の知らない世界を知っている。精神的に自立しており、議論ができる。お前といるときのようなストレスがない』。
そうね、そうだと思います。
わたしより、あなたより、高いところで生きてきたあの子。
海外育ちで、大学時代はリュックひとつで世界を旅して――別れ話の席なのに、そういうあの子の体験を、自分のものみたいに語るあなたは、熱に浮かされたみたいで、キラキラしていて、滑稽で、わたしを死にたくさせました。
でも、あなたのその首は、ずっと上を見ていられるようには出来ていません。すごく疲れたんじゃないですか?
あなたが女としたい『議論』って、知識を披露するゲームですよね。彼女が知識の七並べに付き合ってくれて、いつもギリギリのところで負けてくれて、敵わないなって笑ってくれる女の子だったら、わたしに勝ち目はなかったでしょう。
あなたは結局、わたしみたいな頭の悪い女が好きじゃないですか。でも、頭の悪い女が好きってダサいし、認めたくないですよね。わかる(笑)。
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