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全自動お茶汲みマシーンマミコとセックス

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マミコは今、セックスをしている。

場所は渋谷区のマンションの一室。物の多い部屋に間接照明がぼんやりした光を投げる。マミコは全自動性欲処理マシーンとして、新鮮な喘ぎ声を製造・提供するお仕事に励んでいた。あんあん。そして頭では、部屋に馴染まない間接照明を、この男はなぜ購入したのだろうと考えていた。女を連れ込む時のムードづくりか? そういう記事をネットで読んだのか?

マミコにとってセックスは苦痛ではないが、取り立てて強い快楽でもない。一生しないならしないでもいい。けれど男達からの好意や優しさは性欲由来だと知っているから、セックスも半ば義務のようにこなしている。何かを食べたら代金を払う。心を満たしてくれたらセックスに付き合う。

相性がよければ気持ちがいいし、そうでなくとも少しの我慢だ。マミコは理性が溶けてなくなったかのような表情と声色をキープし続けた。 ちなみにセックスの前日はサボンのスクラブで全身をツルツルにして(※1)、インティマのデリケートゾーン用ソープで念入りにケアする(※2)。

 

相手の額から汗が落ちて、マミコの頬を伝っていった。それが何だか妙に不快で、マミコは心で繰り返す。早く終われ、早く終われ、早く終われ……。グッと下腹部に力を入れると、彼が小さく呻いて動きを止めた。

 

 

シャワーを浴びながら、マミコはハルノさんのことを考えていた。ハルノさんはマミコの先輩で、ここ数年は不倫の沼の底にいる。外回り中に不倫相手とホテルに飛び込む彼女は、本当にセックスが好きなんだろうか。

 

ベッドでは先にシャワーを済ませた彼が微睡んでいた。脱いだ服は綺麗に畳んである。マミコに気づくと布団をめくって、中に入るように促す。シングルベッドは狭かった。ぎゅうと抱きしめられ、頬におやすみのキスをされたその時、急に虚しさに襲われる。

セックスが好きなら良かったと思った。彼と寝るのは初めてだった。それは最強のカードを切ってしまったことを意味する。

そんな風に考えてしまうのは、やはりマミコにとってのセックスが代金であり男への見返りであるからだろう。あとはもう、飽きて飽きられるまでのカウントダウン。せめて、先に飽きるのがわたしでありますように。マミコは真摯に祈りながら、フローフシのまつげ美容液を塗ったまつげを伏せて眠りの世界に落ちていった(※3)

 

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(※1)

サボンのスクラブは全身がツルリとするし膝や肘のさわり心地が違う。粒は大きいのでゴシゴシこすってはいけない。撫でるくらいでじゅうぶんだ。香りはけっこう強めなのでちゃんと好きなものを選んだほうがいい。一番人気はパチュリラベンダーバニラらしいが、マミコはデリケートジャスミンが気に入っている。

(※2)

デリケートゾーン用ソープも色々あるが、インティマは手頃だし優秀だ。生理のときには特に重宝する。泡立ちも良いし、パッケージもバスルームに置いてもそんなに恥ずかしくないが、香りはなんというか、草である。普段使いは問題ないが、セックス直前には使わないほうがいいのかもしれない。

(※3)

フローフシのまつげ美容液は驚くような効果があったわけではないが、抜けにくくなったように思う。価格はアイクリーム(としても使える)にしては安い。ポーチに入れて持ち運んでいる。 

マミコの1話はこちらから。

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